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無限の宇宙のような漆の奥深さを「宙」という言葉に託し、
素材ものものの魅力や、多彩な表現を感じる.
本展では、日本文化の根幹を成す素材のひとつであり、約9000年の歴史を持つ漆芸(しつげい*1)をご紹介します。
近代以前のものづくりを色濃く継承する漆芸は、時代の作り手たちによって問い直され続け、現代でも新たな表現が生みだされています。
漆作家の井川健と下條華子は、それぞれ異なる漆の形を導き出してきました。
井川は、自然の造形を手がかりに、目の前にある線や面の観察と選択を重ねて、形を見出していきます。
さらに漆を塗ることで、艶やかな塗膜(とまく)を纏(まと)った美しい作品を生み出します。

井川健《流れ雲》2025年 ©2025 EUREKA
下條は、制作過程における予期せぬ形との出会いを大切に、複雑でおもしろみのある形を生み出します。
漆、そして蒔絵(まきえ)などの加飾(かしょく*2)を施して完成する作品は、見る角度ごとに表情を変えます。

下条華子《かの木の詩》2024年 撮影:久我秀樹
一方で、宙漆(そらうるし)プロジェクトは、宇宙への憧憬(しょうけい)を原点に、漆作品を成層圏へと送り出し、地球光での鑑賞に成功しました。
この挑戦は、漆と宇宙を結ぶ新たな文化の可能性を切り開いています。

久保尚子《浪》2023年 構想:宙漆プロジェクト
いずれの表現にも共有するものは、漆という素材の持つ美しさや特性への深い敬意、そして“つくること”への純粋な眼差しです。
伝統的な技法と作家の感性が交差するとき、漆は悠久(ゆうきゅう)の時間を内包しながら、なおも果てしなく広がる可能性を示しています。
無限の宇宙のような漆の奥深さを「宙」という言葉に託し、素材そのものの魅力や多彩な表現をご覧いただけますと幸いです。
*1 漆芸…漆の木の樹液を用い、木地などに塗り重ね、装飾を施す日本の伝統工芸。
*2 加飾…漆を塗り重ねたものに、さまざまな意匠や装飾を加えて見た目や質感、印象を変えること。
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【本展の見どころ】
1. 熊本初公開となる、漆作家2名の作品を展示
本展では、実力派漆作家2名の作品を、熊本で初めてご紹介します。
艶やかで美しい漆と、作家の感性が織りなす漆造形世界をご覧ください。
2. 漆、宇宙へ ―― 宙漆(そらうるし)プロジェクト紹介
宇宙への憧れから始まった「宙漆プロジェクト」
漆作品を成層圏へ送り出し、“宇宙で漆作品を鑑賞する”という前例のない挑戦を成功させました。
会場では、実際に成層圏へ到達した漆作品や、当時の実験機体も展示し、プロジェクトの全貌をご紹介します。
3. 工芸って、なぁに?――工芸入門
近代以前のものづくりを色濃く継承してきた工芸分野。
実は、伝統を繋ぐだけではなく、時代ごとに問い直され、新しい価値を生み出してきました。
本展では、工芸について初めての方にも分かりやすくご紹介します。
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【プロフィール】
井川 健(Takesi Igawa)

1980年兵庫県生まれ。小中高を東京で過ごす。伝統工芸に興味を持ち京都市芸術大学工芸科に進学し漆工芸を学ぶ。
シャープな塗り面を特徴とする、髹漆(きゅうしつ)と言われる装飾によらない塗りのみによる表現を行う。
現在佐賀大学芸術地域デザイン学部教授、漆・木工芸を教える。
ヤシの葉を貼り合わせて造形するなど、素地(そじ)に何を使い、どう作るかということに興味を持ち制作している。
受賞歴に2017年 金沢・世界工芸トリエンナーレ大賞など。

*素地に使用するヤシの葉
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下條 華子(Hanako Gejo)

1980年山梨県生まれ、高校まで過ごす。京都市立芸術工芸科に進学後、漆の造形に興味を持ち漆工専攻に進む。
色々な技法や表現を試みる中で、型を用いて造形する乾漆(かんしつ)技法や、幅広い加飾技法に面白味を感じる。
結婚を機に佐賀県に移住、現在九州産業大学非常勤講師。
布などの色々な素材を型に用いて造形し、それらの形と一体となるような加飾表現を目指している。
受賞歴に京展2009「楠部賞」、日本クラフト展2011「奨励賞」など。

*乾漆技法に使われる型
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2022年5月に、芸術系、工学系の有志の学生たちで結成。
芸術を介して宇宙を体感することを目的としたアートプロジェクト。
漆作品を宇宙へ送り出し、地球光に照らされて輝く様子を撮影することに成功。
2026年3月にモンゴルにて第5回放球実験を予定している。
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関連イベント
*詳細については当館ウェブサイトおよびSNSにて随時お知らせします。
*要予約は3月20日(金・祝)よりweb又はカウンター又は電話(0964-32-6222)にて予約受付
■アーティストによるギャラリートーク
日時:4月11日(土) 13:00~14:00
話し手:井川健、下條華子
会場: 展示室
参加費:無料(要展覧会チケット)
*予約不要、当日参加
■豆皿つくりワークショップ
日時: 4月25日(土) ①10:00~12:00 ②14:00~16:00
講師: 井川健
会場: アトリエ(大)
定員: 各回12名 【要予約】
対象:①小学生向け ②中学生以上 ※彫刻刀を使用します。
参加費:無料(要展覧会チケット)
■木の端材を使って生き物の形を作ってみよう
日時:5月4日(月・祝) ①10:00~12:00 ②13:00~15:00
講師: 井川健
会場: 芝生広場
参加費:無料
*予約不要、自由参加(材料がなくなり次第終了)※未就学児は保護者同伴
■うるしのお箸/螺鈿(らでん)や模様の研ぎ出し、艶上げ体験
日時:5月31日(日) 13:00~15:30
講師:下條華子
会場: アトリエ(大)
定員: 8名 【要予約】
対象:小学5年生以上
参加費:3,600円
※漆を使用しますので、かぶれる場合がございます。
■宙漆プロジェクト トークイベント
日時:6月6日(土) 13:00~14:00
話し手:宙漆プロジェクト 代表・髙岸航平
会場: ブック&カフェエリア
定員: 座席30名 【要予約】
参加費:無料(要展覧会チケット)
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開催概要
会期:2026年4月9日(木)~6月9日(火)
開館時間:9:00~18:00 *土曜日は21:00まで 会期中無休
観覧料:一般300円 高大生200円 中学生以下無料
※20名以上の団体割引あり、ほか各種減免制度あり
※チケットご提示で会期中、何度でも入場可能
主催:宇城市不知火美術館 (指定管理者 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)

井川健《波の舟Ⅱ》2022年,下条華子《明日の痕跡》2022年,久保尚子《浪》2023年
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