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ワークショップ Touch oue lives CONNECT

2023.03.04

 開催中のグループ展「TOUCH OUR LIVES(会期:2023/2/21~3/12)の出展作家のうち、3名のアーティスト=小山信子SHINKO KOYAMA、ムラカミアスカ、脇田あおいによる、ワークショップを開催しました。

3名のアーティストがそれぞれの思いを込めて構想したワークショップ「Touch our lives CONNECT」。参加者が自分の好きなものをカードサイズの紙に自由に描き、展示室に飾ります。それだけでなく、参加者同士、飾られた絵から気に入ったものを持って帰ることができる「交換」付き、という内容です。

まず、ワークショップの冒頭には、3名の作品を見ながら、アーティスト本人に作品についてお話を聞く時間からスタート。

トップバッターは脇田あおいさん。

脇田さんは、絵画作品を見せるだけでなく、大きな空間に絵画やドローイングを配置することそのものも表現としています。

脇田「頭の中の想像や世界観を客観視するために、紙に描くんですが、頭に浮かんだこのものは、どんな大きさなんだろう、自分とそのものの距離ってどのくらいあるんだろう?と考えています。だから、この展示室では、とっても高いところに絵を飾ってみたりもしました。」

「「こたつ」も作って置きました。自分が居心地のいい場所を作って、来た人にくつろいでもらいたくて。誰でも入ってOKです。ここで、色んな思いが生まれてくるといいなと思っています」

 

小山信子さんは、16歳から40年間暮らしたアメリカで描いた作品4点を展示しています。

小山「今回は、油絵やアクリルで描いた作品などを展示しました。」

「こちらはアクリル、金箔、さらに溶いた蜜蝋をキャンバスの上にざーっと流し、それを剥がす、というように作った作品『太陽』です。子どものころから絵が好きでよく描いていたんですが、今日は実家で見つけた6歳の時に描いた絵も持ってきました。

大人の自分が久しぶりに見て、「6歳の自分の方がうまい!」とショックを受けたんです(笑)、大人になるにつれて枠の中に入ってしまっているのかもって。」

「だから、このあとのワークショップでは、子どもたちの自由な発想に触れるのを楽しみにしています。絵を描く行為は人生に似てて、計画しても、描きたいように描けなかったりもする、でも投げ出したら前に進めないので、描きます!」

展示作品以外にも、切り絵やクレヨンやパステルで描いた絵、ごく最近のお母さんの姿を描いた油絵など、多様な技法で、多様なテーマで創作し続けている作品もご紹介いただきました。

続いて、ムラカミアスカさんです。 

ムラカミ「この作品は、昔うちで飼っていた猫で、保護したアビシニアンを描いたものです。」

「左は日本画の岩絵の具、右はアクリル絵の具で描いているんですが、ちょっと妖怪みたいな、神様みたいな不思議な猫だったので、もし昔々の日本に現れたらこんな風に絵が描かれるんじゃないかなとか、右は、エジプトで現れたら‥と思って描いています。」

「ほかの作品では人物画をよく描いていますが、モデルがいるわけではなく、心象風景を描いています。心象風景が人になったりするというか。経験とリンクしたり、想像の世界と行ったり来たりしながら描いています。」

 

そして、偶然に会場にお越しくださっていたCOIL Upcycle Art Contestのディレクター橋本季和子さんにも、お話を伺うことができました。

橋本「プロジェクトでは、環境問題や廃棄物問題も日常で言われるようになりましたが、サステイナブルな世界をどのように作っていくか、アートを起点に考えていきたいと思っています。公募展形式で開催し、いろんな表現をする作家さんによる作品を展示していますが、こちらはテキスタイルデザイナー押鐘まどかさんの作品です。」

「繊維工場から出たゴミを素材に使っています。昔は布を手織りしていたけれど、現在のように工場で大量生産される布の製造現場では布の端を切り落とす工程があって、こういったゴミが出てしまう。」

「でも、そのゴミに触れたり、ぎゅーっと抱きしめたりすると、ゴミなのに生き物のような存在感、かわいらしさも感じてしまう。触ってもらった経験から、ゴミと素材の境界を揺さぶることができるのではないかなと思っています。」

―――――

展覧会タイトル「TOUCH OUR LIVES」の”TOUCH”は、さわって体感する作品があること、そして絵を描いたり作品を作ったりすることは、つかみ取りたいイメージに手を伸ばして触れようとすることでもあるということを表現しています。また、Touch one’s lifeという言葉は、「誰かの人生に触れる」という意味になり、作品に出会うことが、一人一人の創作の原点にある人生に触れることでもある、と伝えられたらと思っています。

そんな話のあとに、みんなで絵を描くワークショップに突入!さあ、今日はどんなTOUCHが生まれるだろう。

アトリエには、色画用紙、クレヨン、ポスカ、色鉛筆、そしてマスキングテープ、毛糸などなど、画材になりそうなものをたっぷり並べました。

ご家族で参加してくださった皆さん、トークをずっと真剣に聞いてくれた女の子などなど、思った以上に大盛況。

子どもたちの真剣なまなざし。自由な発想!!止まらない創作!!作るワクワクが伝わって、どんどんアトリエの創作熱が上がっていくようです。

絵が出来たら、展示室の壁に張った毛糸にクリップで留めていきます。木に実がなるように、どんどん増えていきますよ。

どの絵からも、描いた子一人一人の顔が見えてくるみたい。

こんなにたくさんできました!みんなで、Touch!のポーズで記念撮影。

完成した作品は、交換してほかの人の書いたものを持って帰ることができる、というのが今日のワークショップのもう一つの試み。気になった作品を”収穫”するみたいに取り外して‥うれしそう!

「誰かの人生に触れ」ながら、自分のおうちに、居心地の良い場所を、誰かの絵で作り上げられていたら、うれしいです。 

小山信子SHINO KOYAMAさん、ムラカミアスカさん、脇田あおいさん

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